卵子凍結保存で人口が増加 [健康・医療お役立ち情報]




Japan's $1m fertility gambit to help women become mothers

With the country’s population in decline, one city plans to spend 90m yen to preserve women’s eggs for future use

the guardian 2016/07/15

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日本の人口が減少していく中、女性の卵子を将来の妊娠に備えて凍結保存するために9千万円の公的補助金を支出する市が現れた。

千葉県浦安市が少子化対策として順天堂大浦安病院と共同で進める卵子の凍結保存研究で、全国初の公費助成による卵子凍結が動きだしたことを英紙ガーディアン紙が取り上げています。 以下はその記事の内容ですが、全文訳ではありませんので、ご了承ください。


★「記事内容」

「菊地盤氏は生まれてくる赤ん坊の人数で今回のプログラムが成功したかどうかを判断することになるだろうが、それは必ずしも今年ではなく、来年でもない。10年後か20年後なのかもしれない。

菊地氏は日本では不妊治療の草分け的存在の医師である。今回の浦安市と共同で進める不妊治療プログラムでは将来の妊娠に備えて卵子を凍結する女性に対して公的費用が使われることになる。

浦安市は順天堂大学浦安病院で3年かけて共同研究を開始。補助金を交付して浦安市に住む25歳から34歳までで出産時の年齢が45歳までの女性に対して、卵子凍結費用の80%を助成するというもので、日本で、そしておそらくは世界でも初めてのケースとなるだろう。

採卵や凍結、保管にかかる費用は通常1人当たり50万〜60万円程度かかるが、市の補助を受ければ自己負担額は注射や投薬など10万円程度で済むことになる。東京の東にある千葉県浦安市は2018年の3月までの3年間で女性の凍結卵子を将来の妊娠に備えて保存するために9.000万円の補助金を交付する計画。

「女性が高齢になったとき妊娠出来るように卵子を保存しておくことが目的なのです。そして卵子凍結保存により高齢女性の妊娠率が向上することを期待しているのです。」と同病院先任准教授の菊地盤医師は話している。

女性が一生で生む子供の数は現在、1.4人で、国の人口が安定するのに必要な2.1人の水準には達しそうにもない。人口崩壊が起こると予言している専門家もいる。

2015年に実施された国勢調査の結果では、1億2千8百10万人の人口のうち1/4が65歳以上の高齢者で占められている。それに対して15歳以下の若者の人口は過去最低となっている。このままのペースでいくと、2,050年には日本の人口は8千600万人にまで減少することになり、全人口の4割が65歳以上の高齢者となるだろう。

人口の少子高齢化に伴ない、労働人口も減少し、2,030年までには現在よりも790万人(12.4%)も減少して5,561万人になり、減少していく労働人口に高齢人口が頼っている現状では医療や福祉サービスに危機的状況を引き起こすことになる恐れが出てきている。

浦安市やその他の市ではこれまでに出生率を上げようと様々な試みをしてきた。婚活イベントや出産する時間を確保するために残業の禁止や大家族のための買い物券の交付など。

「女性の晩婚化と出産年齢の高齢化が進んでいますが、これは日本にとって、非常に深刻な問題です。それで若い時に卵子を凍結して保存しておくことは大変いいことです。」と菊地医師は話している。

日本は世界的に見て不妊治療が進んでいる国である。毎年、約370,000万人もの女性が体外受精治療を受けていて、生児出生24件中1件の割合を占めている。日本は対外受精の成功率が高い国であると世界的に見られている。

しかし、40歳以上になると、不妊率は10%以下となる。さらに年収が730万円を超えると、不妊治療を受けるときの公的補助を受けられる権利を失ってしまうという政府の政策を専門家たちは非難している。

「今日では以前よりも多くの女性たちが働いており、仕事で忙しい若い時には子供を産むことが出来ないのです。そして高齢になり、高い収入が得られるようになると今度は政府の補助を受けることが出来なくなるのです。」と菊地医師は語る。

今回このプログラムに参加した15人のうちほとんどが働いていて、1/3は既婚者である。約2/3の人が自分やパートナーに妊娠中に合併症などを引き起こすことがある健康上の問題を抱えている。残りの人たちは、民間機関の卵子凍結計画に参加したことのある年配の女性の友達や仲間たちから勧められてこの計画に参加することにしたという。

凍結卵子による妊娠する成功率は35歳で17%, 45歳では1%以下にまでになると日本産婦人科学会は話している。

松崎秀樹浦安市長の話。

「出生率がこれだけ低くなっているときに私たちのこうした活動が求められているのです。一般的に言って妊娠と出産は個人的な問題ではありますが、出生率の低さがここまで来てしまっては、公共の金を使って卵子の凍結保存をすることは正しいことだと考えています。」

「松崎市長がこうした卵子凍結保存プログラムで人口危機を防ぐことが出来ると考えているのは考え方が甘いと言わざるを得ない。」と話しているのはカナダのダルハウジー大学の生命倫理学者エンジェル・ペトロパナゴス氏。

「本当に必要なことは、そうした技術的なアプローチ(卵子凍結保存)ではなくて、若い時に女性が安心して子供を産むことが出来るような社会的・構造的な変革が求められているのです。」と述べている。

浦安市のこうした試みは日本医学会でも賛否両論が起こっている。婦人科学界は年齢を問わずに卵子を凍結することに警告を出している。

昨年凍結した卵子を使って体外受精をした女性には高血圧などの症状が見られ、凍結した卵子を使って生まれてくる子供の健康に与える影響などについてはあまり知られていないと日本医学会は話している。

「妊娠・出産は適切な年齢の時に行われるべきものなのです。卵子の凍結という技術はこうしたところで行われるべきものではありません。」と婦人科学会は話している。

菊地医師は語る。

「女性に対する世間の見方が女性を差別しているという証拠であり、それが出生率の低下につながっているのです。卵子凍結保存は、年を取ってからの妊娠は耐えられないものになるというメッセージを働いている女性に伝えているのです。」

この成功の基準について、菊地医師は次のように話している。「20人中6人から10人が妊娠したら、大成功だと言えます。もちろん、凍結卵子を使わなくても妊娠する女性もいます。

日本のマスコミはこの卵子凍結方法が人口減少を解消出来る万能薬になりうるのではないかと少しオーバーに宣伝してきたが、今回のこのプログラムが新たなベビーブーム到来のきっかけになるだろうという見通しについては菊地医師は否定的だ。

「我々が行っている卵子凍結が人口減少の解消にそうしたインパクトを与えるにはもう遅すぎるのです。日本の出生率が上昇するとは思っていません。上昇するには長い年月か゛かかることでしょう。妊娠する適切な年齢と妊娠するのが難しくなる年齢などについてもっと少年、少女たちに教育していく必要があります。現在のところ、性感染による病気や避妊のことしか教えていません。」

出生率の向上については否定的な見方をしている菊地医師ではあるが、浦安市が進めているこのプログラムは出生に対する人の考え方を変えてしまう大変化をもたらすだろうと信じている。

「妊娠する・しないは個人の権利なのです。それならば、国に妊娠する助けを求めてきたら、国はそういう人たちを手助けが出来るような体制を取っておく必要があります。今回のプログラムでで女性が女性の特質と子供を産める健康体などについてもっと前向きに考えていくきっかけになると考えています。」


★女性の卵子を冷凍保存して必要な時にまた体内に戻すという医学的手法ですが、そういう医学的技術を用いなくても、適切な年齢を迎えたときに、出産が出来る環境が必要なのでは。

現実にはそうした環境が整っていないために、こうした医学的なアプローチに頼らざるを得ない状況になっているようです。

人口の減少を食い止める効果的な方法は他にはないのでしょうか。

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自民圧勝で憲法改正へ [英語]





Japan Vote Strengthens Shinzo Abe’s Goal to Change Constitution

The New York Times JULY 10, 2016





参院選で自民党が圧勝、安倍首相が憲法改正実現へ向けて強く前進 

7月10日に行われた参議院選挙は大方の予想通り自民・公明連立政権が圧勝したが、このニュースを世界各国の主要メディアが一斉に報じています。

そうした海外メディアの中で、米紙ニューヨーク・タイムズはJapan Vote Strengthens Shinzo Abe’s Goal to Change Constitutionというタイトルでかなり長めの記事を載せています。


「自民党の一方的勝利となったが、国民がこころから今の自民党政権を支持していいる訳ではなく、自民党政権に取って代わる政党が今の日本には存在しないために、仕方なく自民党に票を投じた人が多かったと消極的な投票だった。

2012年に安倍政権が誕生する前の民主党(現民進党)が政権を担当した4年間のことを多くの国民は未だに忘れていず、与党政権が駄目だからと言って、それに代わって政権を任せられる政党が今の日本に存在しないため、やむを得ず、仕方ないから現状維持で自民党に任せるしかないという気持ちで、大方の国民が投票した。

今回の日本の国政選挙の結果には、過熱化するアメリカ大統領選挙や最近EUの離脱を決めたイギリスの住民投票のような熱烈なポピュリスト的な盛り上がりはなかった。

これで安倍首相悲願の憲法改正のおぜん立てが出来たわけだが、憲法改正には国民の意見が分かれていてすんなりと憲法改正の手続きが進むかどうかは不透明な状態。

海外の紛争地に自衛隊を派遣できるようにした時には国内でかなり強い抗議デモが起こったので安倍政権は慎重に憲法改正の是非を国民に訴えていく方針。

記事の最後には初めて18歳から投票権が得られたことについて触れていますが、20歳以下の若者は政治にはあまり関心を示さないようだとも書かれています。


★日本で10代に初めて投票権が与えられたことに関する記事はこちらです。
Teenagers in Japan Can Finally Vote. But Will They?

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★戦後初めて衆参両院で与党自民党など改憲支持派が2/3以上の議席を確保したわけですが、憲法改正のための国民投票まですんなりと進んでいくのかどうか、波乱が予想されます。




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労働人口の減少と移民政策 [英語]




Japan running low on workers as proportion of over-65s hits record levels
The guardian 2016/06/30


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★ベビーブーム世代が65歳以上になり、高齢者人口が過去最高となる日本


★高齢者人口が増えるにつれ、労働人口は減る一方で、経済活性化に大きな影響が出てくることが予想されている日本。その労働力不足をどのようにして補うのかについてガーディアン紙が取り上げています。


「65歳以上の人口が過去最高となる中、日本の労働人口が減少している」


日本の労働人口は2030年までには790万人にまで減少する見込みが政府発表のデータで明らかになる。

「昨年の2,015年に行われた国勢調査の結果、人口の1/4以上が65歳以上の高齢者で占められていて、経済の先行きの見通しに懸念が示される形となり、日本の閉鎖的な移民政策に関心が寄せられてきている。

日本の人口は1億2,700万人で、そのうち65歳以上が占める割合が26.7%と過去最高となったことが総務省が先ごろ発表した2,015年の国勢調査の結果わかった。2,010年に実施の国勢調査の結果と比べて3.7%の増加となっている。

日本の労働人口は2,030年までには12.4%の790万人減少して5,561万人に、総人口は2,060年には8,600万人にまで減少、65歳以上の割合が全人口の40%近くに上るとの予想が政府発表の調査で示されている。

ジャパンタイムズの報道によると総務省は65歳以上が人口に占める割合は過去最高を記録したと発表。これはここ5年間にベビーブーム世代の多くがこの年代に達したことによるものだとしている。
出生率を上げる試みはうまくいかず、国会議員たちは移民立法の緩和を検討することには消極的な態度を示している。 

移民を数多く受け入れないと、日本の労働人口は今世紀半ば頃には5,700万人にまで減少していくだろうと国連プロジェクトは見ている。日本が2,005年から2,050年にかけて人口1億2700万人を維持していくには1,700万人もの移民を受け入れる必要があると推測されている。

一方、15歳以下の若者は1,586万人で、人口に占める割合は12.7%となり、5年前に比べて減少している。

本州の北部地方にある秋田県では65歳以上の人が人口の33%を占めているが、最南端の沖縄県ではその割合は19.7%と過去最低となっている。

日本の全47都道府県で65歳以上の人口が15歳以下の人口を上回っている。

2,010年からの5年間で300万人も減少した労働力を増やそうと多くの移民を受け入れることを日本はこれまで拒んできた。

今では労働力の50%以上が女性と65歳以上で占められており、特に介護や福祉分野ではそうした傾向が強くなっている。そうした分野では人口の高齢化によりサービスの需要が高まってきている。

急速に進む高齢化社会が作り出す厚生基金財源の危機的状況を回避出来るかどうかということが、最近麻生太郎財務大臣がお金を貯めこんでいる年金受給者のことをコメントしたことが強く非難されたことで、世間の注目を集めるようになった。

6月初旬、北日本で開かれた自民党支部大会で麻生太郎氏は次のように述べた。「90歳になっても老後が心配とか、訳のわからない事を言っている人がテレビに出ていたけれど、お前いつまで生きているつもりだ、と思いながら見ていました。」

麻生氏は高齢者に対して、経済を活性化するために貯蓄しているお金をもっと使うように勧め、次のように述べた。「貯めているお金を使わないでじっとしているのが最大の問題だ。あったらその金を使わなきゃ、なんも意味もない。さらに貯めてどうするんです。金なんてね、あれ見るもんじゃねえんだ。」

2013年に麻生氏は高齢者などの終末期の高額医療費は不要の財政出費で、「さっさと死ねるようにしてもらい、国が高額の医療費を払わなくても済むようにするべきだ。」と述べた。」


★終末期の高齢者の延命措置に国の財源を使うべきではない、高齢者には早く死んでもらいたいとか、高齢者がため込んでいる金をどんどん使うようにしなければ駄目だと麻生氏は言っているようですが、高齢者たちからの強い反発が予想されます。
健康で、元気で長生きするのが望ましいのでしょうが、現実には高齢と共に医療機関のお世話になる人が多いようです。



英文記事


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深刻な認知症問題とその対応策 [英語]




Japan's dementia crisis hits record levels as thousands go missing
the guardian 2016/06/17


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★親の介護のため仕事を辞める人(介護離職者)を減らす方針を打ち出した日本政府

★日本の認知症問題が危機的な状況になっているという記事をガーディアン紙が取り上げていますので紹介します。

「何千人以上も行方不明となり、日本の認知症問題は過去最悪の危機的状況となっている」

2,015年には12,000人以上もの認知症患者が行方不明となり、数百人が発見された時には死亡していたと警察庁が発表している。


「昨年、行方不明になった日本の認知症患者は過去最高となり、急速に増え続ける認知症患者の対策に国を挙げて取り組まなければならない重要性が強まってきている。

警察庁の調べによると、昨年の2,015年に行方不明になった認知症患者の数は12,208人で、前年度よりも1,452人も増えている。共同通信の報道によると、大半の人は徘徊しても1日から1週間の間に見つかっているが、発見された時には死亡していた方が479人、身元の分からない人が150人もいたとのこと。

日本の総人口1億2千800万人のうち65歳以上の人が占める割合が1/4にも達していて、日本はこれから押し寄せる超高齢化社会問題に取り組まなければならない最前線に立っている。

日本の認知症患者数は現在460万人だが、2,025年には700万人にまで増えると見られていて、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症患者になる計算。

昨年日本政府はオレンジプランなるものを立上げたが、今年は225億円を投じて認知症専門家の育成、初期の認知症予防、地域介護を拡大して、仕事を辞めて家族の介護をしなければならない人たち(介護離職者)の負担の軽減を目指している。

最近行われた調査によると、認知症家族の面倒を見ている人の40%の人がもうこれ以上在宅介護を続けることは出来ない、70%の人は介護を負担に感じているという。

認知症にかかっている自分の親などの介護のために仕事を辞める人(介護離職者)は毎年10万人にも上ると見られているが、安倍政権はベビーブーム世代が75歳以上になる2025年までには介護離職者の数をゼロにすると宣言している。

自宅の外を徘徊する認知症患者に起こりうる危険性については、今年の初めに最高裁判所が下した注目すべき判決の中で明らかになったが、認知症問題に取り組んでいる人たちは、この判決は認知症患者に対する法律的な見解に飛躍的な前進が見られたとして認知症問題に取り組んでいる人たちは歓迎している。

今年の3月に最高裁判所は自宅を出て徘徊して列車にはねられて死亡した91歳になる認知症患者の家族が鉄道会社から、鉄道サービスが広範囲にわたり混乱したとして360万円の賠償を求められていた判決を却下した。

最高裁判所は認知症患者の家族の立場を支持し、認知症患者を一日中監視することの難しさについても判決で触れた。認知症の親の面倒を見るために仕事を辞める人(介護離職者)を救済するために政府は地域介護の拡充を公約している

認知症問題に危機が迫ってきているという警告を受けて、日本では60歳以上を対象としたフィットネスプログラムや記憶力を改善させるための特別に編集されたクロスワードやパズルブックなどから認知機能の改善に効果のあるサプリメントに至るまで、様々な新製品や介護サービスなどを打ち出してきている。」


★少子高齢化社会が現実的な問題となり、一人一人が身近な問題としてどのように対応したらよいのか真剣に考えなければならない時がやってきたようです。

介護離職者数をゼロにすると政府は公言していますが、その具体策はまだ見えていません

働き盛りの人が自分の親の介護のために、仕事を辞めるのはまさに経済危機にも社会的にも大きな損失となり、今後の日本の経済全体にも大きな影響を与えことが懸念されますので、早急な対策が急がれます。


英文記事


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