管直人首相 浜岡原発すべて停止を要請 [東日本大震災]

管直人首相 浜岡原発すべて停止を要請

福島第一原発事故の政府対応がいろいろと批判されている中、菅総理が突如として中部電力に対して静岡県にある浜岡原発の全面停止を要請したニュースをニューヨーク・タイムズが取り上げています。

Japan Asks Another Nuclear Plant to Shut Down Its Reactors

「日本語訳」
日本の総理大臣は金曜日、中部日本にある浜岡原子力発電所に対して、地震や津波への対策が十分出来るまで停止するよう要請した。原子力安全活動家たちはこれまでに、断層線内に含まれる海岸線沿いに作られた老朽化した原子炉は停止すべきだと警告をしてきた。

浜岡原発は東京の西南120キロ、福島第一原発より40マイルも近いところにある。福島原発は3月11日の東日本大震災のマグニチュード9.0の地震と津波の発生後、放射性物質を噴出している。

原子力安全活動家の話によると、浜岡原発の問題点には津波対策が不十分なことが挙げられているが、原発側は津波対策には砂丘に頼っていると話している。

浜岡原発を停止するという管首相の決定は、政策変更発表前には合意を取り付けるとするこれまでの日本のリーダーのやり方から比べると、極めて迅速になされた。

しかし管総理は福島第一原発事故の対応で、原発事故発生の初期段階で政府対応が遅れたことで事態が悪化してしまったことなどで激しい批判を浴びている。

金曜日の決定の説明では、「浜岡原発で重大な事故が発生した場合に、日本社会全体に及ぼす甚大な影響を考慮した結果」と語った。

政府専門家は、30年以内にマグニチュード8.0程度の地震が発生する可能性は90パーセント近いと予測している。それほど激しくない地震が最近日本では少なくとも原発1基を破損させている。

2009年中部電力の浜岡原子力発電所は2基の老朽化した原子炉を廃炉にしたが、改良して地震の危機に耐えられるようにするにはコストがかかりすぎると判断したためである。これらの原子炉は福島第一原発とほぼ同じ1970年代に建設された。

浜岡原発側は1980年代に建設された残りの3基は大地震に十分耐えられる安全な原子炉だと主張している。しかし福島第一原発の事故によって、現在日本で稼働中の50基ほどの原子炉が地震や津波から受ける危機に対して高い懸念が出てきたのである。

菅総理は中部電力に対して運転再開の許可が下りるまで、地震・津波対策を強化するよう要請した。これに対し中部電力側は、十分な防潮堤の建設には2年ほどかかるとしている。

「何よりも私は国民の安全と安心を考えている」と菅総理は述べている。

電力不足の対応については、日本国民に一層の節電協力をお願いするとしている。

東日本の会社や工場では、電力を今年の夏は15パーセント削減するという政府の要請に応じて、これまでに照明を暗くしたり、就業時間を変更したりしてきている。現在稼働している浜岡原発3基の発電容量は合わせて約3500メガワットで、日本の原子力総発電容量の約7パーセントにあたる。

「地元住民や日本全体が更なる節電に向けて努力をすることによって、電力不足は乗り越えられると確信している」と菅総理は述べている。

浜岡原発の残りの3基のうち1基は定期点検ですでに停止中である。中部電力は菅総理の要請内容を迅速に検討するとの声明を発表した。

グリンピースを含む環境保護団体は菅総理の決定を歓迎し、政府に対して地震の影響を受けやすい国内のすべての原子炉の停止を要請した。

「グリンピースは、菅総理が日本で一番危険である浜岡原発を停止するよう要請したことを歓迎する」とグリンピースジャパン事務局長の佐藤潤一さんは語る。

「政府は既存の原発を停止、廃炉、そして新規の原子炉はすべて中止にしていかなければなりません。その時になって初めて日本国民は日本政府が国民の安全を第一に考えているのだと感じることが出来るのだ」とも述べている。

しかし神戸大学の名誉教授で地震学者の石橋克彦氏は、日本の原子炉のより厳しい耐震基準を設けるべきだと主張してきたが、浜岡原発を停止するだけでは不十分だと指摘している。原子炉は冷却中、使用済み核燃料棒があるので地震や津波に耐えられないのだと指摘している。原子炉を保護するために緊急な対策を講じる必要があると指摘している。

地震が国内の原子炉に与える危機を政府が認識するのが遅すぎたとも指摘している。2006年石橋氏は自分が関わっていた政府委員会に原子炉のもっと厳しい地震のガイドラインを採用するように要請した。石橋氏は自分の意見が取り入れられなかったとして後に辞任している。

「もし日本がもっと早くに原発危機に直面していたなら、福島原発の事故は防ぐことが出来た」と石橋氏は語る。

福島第一原発では、3月11日の津波ですべての電源が切断され、肝心の冷却装置が停止して以来、破損した原子炉と燃料棒プールを収束させるために懸命の作業をしているところである。全原子炉のうち3機は結果的には過熱してしまい水素爆発を引き起こしてしまった。福島第一原発は東京電力ーEPCOとして知られているーが運営している。

東京電力はすべての原子炉を;冷温停止の安定した状態にするには少なくとも6カ月はかかると話している。

東京電力が運営しているもう一つの原子炉である日本海に面したところにある柏崎刈羽原発は、2007年マグニチュード6.6りの地震により損害を受けた。原発の1基で火災が発生したが、すぐに消し止められ、東京電力側は放射性物質が広範囲にわたって放出されることはなかったと話している。

原発は約2年間修理と点検のため停止した。それ以後、7基の内4基が運転を再開している。


参考記事
グリーンピース声明―日本政府の決定を歓迎

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