崩れゆく中国の家族制度-2 [海外]

増え続ける中国の独居高齢者ー2


2020年には中国人の4人に1人が60歳以上となる。

「へきちで生まれ育った中国人は職を求めて遠く離れた都会へと移り住むため、面倒を見たいという気持ちがあったとしても、年老いた家族の面倒を見るのはそう簡単なことではない。

国が様々な対策を講じてはいるのだが、多くの中国人は子供が年老いた家族の面倒を見るという責任は中国文化の中心にあるものなのだと思っている。こうした面では、ほかの国とは大した違いはないのだが、家族からの親孝行を期待していると、親孝行をされていない人は恥ずかしく思ったり、孤独に感じたりする。助けが必要な時で近所に住む人に助けを求めようとはしない人が多い。上海に住む高齢者の84%は社会活動には参加していないことが復旦大学の調査でわかった。

求められる政府対応

中国政府もこうした事態は把握している。2013年に一人っ子政策が幾分緩和されたが、その理由の一つには増え続ける独居高齢者の数が挙げられている。ある地方行政事業体が独居高齢者向けのサービスを展開。東中国の杭州では若い研修医が独居高齢者の家に無料で泊まることが出来る、その代わりに高齢者の話し相手になってあげたり、簡単な医療を行ったりするというもの。そしてある都市ではtime bankなるものを奨励している。これはアメリカや日本をモデルにしたもので、60歳以上の人が80歳以上の人たちの手助けをしてその時間を銀行に預けて後になって自分か困ったときにその時間を引き出して使うというもの。こうした試みに対して、共産党政府が国家をコントロールしている中国は十分な監視の目が届かないこうした試みには神経質になっている。

貧弱な中国の介護サービス

社会保障制度が貧弱なため、一人暮らしの高齢者の面倒を見ることが出来ない家族を支援する体制がほとんど出来ていない。2013年の北京工科大学の調査によると、高齢者に必要な基本的なサービスのすべてを提供している自治体は北京にはほとんどないとのこと。
社会活動の場を提供している都市はあるが、高齢者の介護サービスを提供しているところはほとんどない。地域社会での医者不足で、重度の高齢者は病院にそのまま居残ることになる。ソーシャルワーカーも不足しており、低賃金で労働時間が長く、最低限の訓練しか受けていない。高齢者養護施設は増えてはきているが、まだまだ数は少ない。国内には高齢者を収容出来るベット数は580万だか、これでは60歳以上の3%にしか過ぎないし、入居希望者は増え続けるばかりだ。

増え続ける高齢者の自殺

こうしたことが、高齢者の自殺率の高さの背景にはある。他の年齢層では自殺率は低くなってはいるが。2009~2011年、全自殺者の半数近くが65歳以上だった。地方ではその数はさらに増えている。高齢者の一人暮らしは世界の至るところで、厳しい状況に置かれているが、著しい。中国では若者たちが仕事を求めて生まれ故郷の村、そして両親の元を離れて行くために高齢者の一人暮らしはとりわけ孤独感に襲われる。中国政府は親孝行を強要する法律を2013年に施行した、それは子供が両親の元を訪ねて精神的に支えてあげることをしない場合には罰金、ないしは刑務所行きになるというものだが、そうした法律を作っても効果は上がらない。急速な変化を遂げている中国では、大規模な国家単位の対策が求められている。」

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